中飛車対策

初手5六歩のレート700程度の相手と一戦を交えた。
中飛車に対しては、居飛車穴熊か、
中央にへこみ矢倉みたいなものをこしらえて、そこから相手の玉頭に金銀で盛り上がるか、
という二つの選択肢を私は気分で選んでいる。


今日は金銀で盛り上がるという将棋をした。
先日中級タブの一番上の将棋を観戦していたら同じような将棋があったから、
イメージが膨らんでいたからである。
私が見たその将棋は、上級の下部の人間が、中級の上部の人間に対して中飛車をやっている将棋で、
健気にも中級上部の人間は中飛車に対して居飛車で戦っている。
そういう健気な将棋が私は好きである。


私が今日相手にした中飛車使いの棋譜を一戦交えた後で見てみた。
どうやらその相手は初手5六歩ばっかりしている人間らしく、
たくさんの私と同じようなレートの人間がその中飛車に屈している。
中飛車への対策として中級タブの人間がとっているのは、「相振り飛車」である。
中飛車に対して中飛車をしたり、あるいは三間飛車だったりしている。
そういう人間が驚くほど多い。中飛車に対して結構な数の人間が「相振り飛車」をしている。
(中級タブでは)


でも私は相振りは好かない。
というより分からない。
健気にも居飛車中飛車に突っ張っている将棋が好きである。
なにせそちらの方が見ていて綺麗だから。


そういう中飛車を相手にして、「金銀で盛り上がり玉頭攻撃」というのはいままで成功していなかった。
勝ったとしてもその目論見が成功したとはいえなかった。
今日の相手は私の玉頭攻撃の受けを結構間違ってはいたが、典型的な中級中飛車的性格だったので、
受けが弱いのは許すというものである。
中飛車をする中級の人というのは、とにかく攻め気が強い。
血に飢えた猛獣みたいなものである。その猛獣の突進をひらりといなしつつ、玉頭を狙い息を止める。
闘牛士にでもなったようなイメージの将棋である。


こういう将棋というのは、正直すんごく難しいのである。
相振りにした方が確かに分かりやすいのだろうが、それでは詰まらないのである。
中飛車に対して、こちらも飛車を振るなんてのはなんだかやりたくない。
上手く相手の玉頭に歩で位を取り、守り駒の桂馬を跳ね、
(セオリーでは守り駒を攻撃に用いるというのは駄目だろうが、中飛車相手には仕方がない
居飛車穴熊に対して、速攻を狙うなら自軍の守り駒である桂馬を跳ねるのと同じである)
歩を突き捨て、桂馬を交換し、また5段目に桂馬をうって相手の美嚢を攻撃する。
こういう攻撃をすれば、大抵の美嚢はすごく薄くなるのであり、
とどめは自軍でひっそりとしていた角がのそっと動いて、銀と角と桂馬で仕留める。
これがなかなか難しい。でもできるようになったら、飛車に頼るばかりの将棋から
少しだけ脱出できるように思う。


とにかく玉頭攻撃には自軍守り駒の桂馬の跳ねるタイミング、位を取って歩を突き捨てるタイミング、
角を良いタイミングで起動させるために、よくよく全体に目を配っていることなど、
難しいのである。なかなか成功しないけれど、構想というのはこうである。


思うに、このような構想というのは知識としてなければならない。
私は角換わりなどではなんとなく位を取って位を取った歩の下に角をうちこみ、
桂馬を跳ねるなんてことをどこかで聞きかじってしているが、
なぜそうするのか、という構想は全く理解していないために、ぼやけた将棋になる。
なんとなく指して、なんとなく勝つ将棋というのは、たくさん指しているが一文の得にもならない。


話を中飛車対策に戻そう。
居飛車で指すなら、振り飛車に対するときはすべて「対振り飛車」である。
それだけ居飛車の基本「舟囲い」というのは、可塑性があるのである。
どこに振ってきても基本はこれで対応できる。
居飛車で指すと、いろいろな局面に対応できるというような柔軟性が身につくに違いない。
初手5六歩で中飛車ばっかりするのは、今のところしたくない。
こういうことを書くと、また偉そうだとかいうコメントをもらうかもしれないが、
ただ私が居飛車で指すのは、局面に対応した指し方を学びたいからである。
中飛車や石田流というのは違う。
局面に対応するというよりも、局面を提示するほうの将棋である。
私は最初に局面を提示するのではなくて、相手が持ち込んできた局面に対して難しい答えを出すような
意地悪爺のような将棋がしたいのである。
だから中飛車と石田流は私の好みに合わない。


そんなこんなでレートは650周辺を動かず。
勝ったり負けたりを繰り返しているから、じっとこの辺で上下している。
目下のところの目標は800である。そこまではいけるような気がする。


今日はアヒル戦法というものをしてみた。
フリー対局で8級程度の相手に試してみる。
ヒル戦法は自軍角と相手側の香車を交換して、雀刺しのようなことをするのである。
序盤に早々とやるので、相手の歩が足りないで受けることができない。
とくに振り飛車には有効である。
が、アヒル戦法というのは、アヒルの足型に中住まいの玉の囲いを作るのだが、
これには訳があって、相手に角を渡すので、角の打ち込みに強くするためであるが、
このアヒル型の中住まいというのを、しないでアヒル戦法をやるのは随分怖いのである。
だからアヒル型に一応はしておくが、アヒル戦法を知っている人間には間違いなく通用しない。


そもそもアヒルの足型に中住まいの囲いを作っている時点で、知っている人間にはアヒル戦法だと見抜かれる。
見抜かれたら角と香車の交換も、序盤の角の打ち込みがろくにない時点で、やってこないであろう。
要するに嵌め手である。
けれど8級の相手にも通用するのだからレート戦でやってみたくなるが、勇気がなくてできない。
ヒル戦法しっていたらどうしよう、という気持ちになるのである。