ゴキゲン中飛車を見てのメモ

今日は将棋24の有段者の将棋を見ていて、典型的な「ゴキゲン中飛車」を見たので
それをメモに残す。かなり大雑把にこういう作戦だというのをメモする。
今日見た対局はかなりお話の筋が出来ていて、覚えやすかったので。


まず、後手ゴキゲン中飛車は3四歩として、その後5四歩を突いてくる。
先手の居飛車は角を交換し、左美嚢の形の原型を作る。
この時8八に格の打ち込みがあるようであるが、これは7七に角を合い駒して受かる。
一方で、先手の居飛車が2五まで歩を突いてきたら、ゴキゲン中飛車は2筋に飛車を振り、
桂馬をはねて、2五の歩をとる。
ここで先手の居飛車は、桂馬がただでとれるのだが、後で怖い「ただの桂馬」である。
あとは歩を詰めていくのみ。
角が持ち駒としてあるので、銀を引いても受からない。
「鬼殺し」の嵌め手でこんな指し方があったと記憶しているが、
何よりの違いは「角の持ち駒をしているから、「銀を引く」だけでは受からないということ。
究極の嵌め手だと思った。


お互いに2筋で飛車を捌き合い、居飛車は高美嚢、ゴキゲン中飛車は美嚢という形になるのだが、
捌き合いの結果できたと金、それから後手側の駒得がものをいい、
居飛車はまったく相手の美嚢を崩せないで、後手はと金を使って、駒得した香車などを使い、
力を溜めて一気に先手の高美嚢を崩す。


「ただの桂馬」は確かNHK杯で千葉女流と佐藤氏の一局でも出てきたはずである。
千葉氏はこのただの桂馬をとり、わずか60手そこそこで投了。
かなり圧倒的な展開になったのだが・・・。たしかあの一局は中飛車ではなくて、
向い飛車だったかもしれない。ただ角を交換した形の向い飛車であって、
「桂馬の高跳び」で相手の2五の歩をとり、歩得を生かして後手が飛車先の歩を進めていくという
極めて単純な作戦であったと思う。
が、ここでも角を交換しているので、この単純な作戦を咎めることがなかなか難しい。
居飛車は圧倒され、ぐぅの根もでないほどである。
相手の美嚢はまったくと言っていいほど手つかずなのであるが・・・。
千葉女流のNHK杯を見たところ、それに対して穴熊を組もうとしていたのだが、
穴熊をいまから組もうという「銀のハッチ」も閉じていない状況で仕掛けられたために、
それはもう一方的な展開になったはずである。
ただ、2筋での捌き合いによって、どちらかというと後手に上手く捌かれての「と金」が
敗因であるならば、居飛車側の穴熊という選択は間違っていないはずである。
穴熊ならば2筋の「と金」は確かに遠いのであるが、玉は2筋から遠い。
居飛車が相手の美嚢を崩す時間もあるというものであろう。
ただ、結構急戦調の将棋であるから、その時間を与えられないというのが居飛車側の苦労であろう。


いくつかプロの対中飛車の将棋を見たが、中でがっちり受ける人間もいる。
しかし、中でがっちり受けると次には中飛車側が薄くなった2筋に飛車を振り歩を伸ばしてくるという
展開になる。私も何度かそのような中飛車の攻撃を受けたことがある。
5筋はフェイクである。5筋をがっちりさせて、ポイントである角を交換し、
薄くなった2筋に飛車を展開して、あわよくば居飛車側の飛車まで持っていこうという筋書きである。
おそろしき「ゴキゲン中飛車」。
渡辺氏曰く「ゴキゲン中飛車」とは「角道を通したままの中飛車」ということであったが、
この角交換も一つのポイントになっていて、作戦としては非常にうまくまとまっている感じである。
攻略方法も、なんだか絵に描いたように分かりやすい。


中村修氏の対中飛車では、中飛車を受けつぶす格好で、私が好きな将棋であった。