原発のウソ、レートの更新

原発のウソ (扶桑社新書)

原発のウソ (扶桑社新書)


実家にあった原発本を読む。
なかなか大変なことが書いてある。
工学部に所属している私は、一時期、原子力学科に憧れていたのであるが、
その原子力関係の話を聞くと、その実情というのはひどいもののようだ。


しばらく前に騒がれていた高速増殖炉もんじゅ」は、
原発関係の人間がかかわって、随分税金をつぎ込んだのにもかかわらず、
トラブル頻発でまったく動かない。
15年ももう動いていないのであるが、そこに投入された税金とはいかに。
もんじゅ」の関係者の一人は、責任を感じて山中自殺。
一応これは日本の技術の総結集として作られたようである。
しかし、莫大な税金がつぎ込まれたのにもかかわらず、
この計画は事実上失敗ということのようである。


また、原発につきものの廃棄物処理も、日本の技術は著しく遅れていて、
フランスやイギリスに廃棄物処理を依頼していた。
なぜなら敗戦国なので条約により核技術関連の研究ができなかったというのであるが、
その廃棄物処理も現在でもろくにできないようである。


日本は科学技術立国だと自称しているのであるが、
これはもしかしたら、戦中に日本は神国であると信じていたようなものなのではないか。


中国で地下鉄や新幹線の事故が起こり、その対応が信じられなく野蛮と
日本のメディアは評しているのであるが、
さて福島原発の政府と東電の対応に関しては、どれほどの対応だというのだろう。
戦時中から日本という国のメンタリティーは変わっていないように思う。
太平洋戦争末期、「一億総玉砕」と最後には叫びだすわけであるが、
その時点でもまだ勝てると信じていたのと、なにやら違わない。
日本人が日本人を省みるときに、とぼけたように甘い判定を示すのは、
日本人の特性なのだろうと思う。


尚、放射性廃棄物処理のためには、国の援助が必ず必要なのであり、
そうなると電力会社と政府との癒着というのはひどいもので、
またテレビ局のOBとも仲が良いらしく、メディアと仲良しだから都合の悪い事実は
隠されてしまうわけである。
また、原発自体は都市部には作られないで、地方の田舎に作られて、
一方で大量に使うのは都市部の人間なわけで、
要するに都会に住む金持ちは便利に快適に、豊かに暮らせるように設定されていて、
その分割を食っている人間が確実に存在している日本社会にまかり通る「差別」が
原発事故から透けて見える。


そもそも原子力工学科というのは、旧帝大クラス以上にしかないので、
恵まれた人間が通い、さらには彼らが恵まれた電力会社に勤めるわけであるが、
ずっと生まれた時から、「誰かに割を押し付ける側」に回っていた彼らが、
この原発を取り巻く差別的な構造自体を変革しようと思うことは決してないだろう。
ただ、この本の著者は、頭脳明晰ながら、さらには徳も備えているので、
原子力工学に憧れて学科に入った後に、その危険性を訴え続けるという運動をしている
尊敬に値する理系の人間である。




あとは将棋はレートを1272まで更新。



(追記 もんじゅの無駄遣いがニュースになっている)

時事通信社 2011年11月14日(月)17時04分配信 3
 運転停止中の高速増殖炉もんじゅ」(福井県敦賀市)と関連施設の研究開発に総額約1兆810億9500万円が支出されていたことが14日、会計検査院の調査で分かった。このうち約830億8500万円を掛けて建設・維持されている関連施設は全く利用されていなかった。

 東京電力福島第1原発事故を踏まえ、政府は来年夏をめどに新しいエネルギー基本計画を策定する方針で、検査院は「計画見直し議論のためにも、もんじゅの経費は全体が把握できるように公表されるべきだ」として、日本原子力研究開発機構に対し、経費情報の適切な公表と施設の有効活用を求めた。

 検査院によると、原子力機構は2010年度までに要した研究開発費を約9265億円と公表しているが、これには人件費、施設の固定資産税、1979年度以前のもんじゅ建設準備段階の経費などが含まれていなかったという。