何とも言えない時期、無力感も感じる

最近は、研究室内も随分と忙しい雰囲気で、年末の雰囲気に私も飲まれそうになっている。
予定としては今週、研究報告会があって私の番なので、それの準備。
報告内容を定食として見立てると、私には味噌汁が足りないように思えたけど、他の方々の報告書を見たら、
そこまで内容が濃いわけでもなく、なんというか「ひとネタあれば」という感じなので、
私もいつぞやのひとネタを出品すればよいと思った。


その味噌汁を付けようか、付けまいかという話で、候補が二つあったわけだけど、
どちらも数日でできるような感じではなくて、私には絶壁に見えてしまい、さて報告会の資料作りをすべきか、
それとももうひとネタ収穫するか、という判断を迫られ、とりあえず取り組んでみて駄目だったらひとネタで出品とか、
考えたわけだけど、それもうまくいかないで、だらだらと中途半端な時間を過ごしてしまった。


あとは、12月を迎えて、大学院一年生の就職活動が始まったらしく、それも研究室の雰囲気を変えているようである。
私はこの春に就職活動もどきをしたわけだけど、今の研究室のそれを見るとなんだかとてつもなくギャップを感じる。
今、確かに流行りの分野だし、回/路/設/計できる人材というのが足らないという現状があるらしく、
この春就職活動した時は私は中規模とかあまり有名でない企業を回っていたのだけど、
明らかに有名な会社が研究室のメンバー限定で、「これは特別です、さらに特別な工場見学も用意してします」といい、
その訪問してきた人事さんもとる気満々な感じで、会社説明をしていくのである。


会社説明会後、「勝ち馬」に乗ったことを悟った学部四年生などは、異常に興奮し始めて、研究室に帰った後でも、
ずっとその会社説明会のお話をしている状況。
そりゃそうだろう、彼らはこの大学のこの学科で一生懸命勉強してきて、この研究室に来たのだから。
私といえば複雑な気分で、まず春に就職活動をしていた自分のピエロ加減はすさまじいと思うわけだし、
「大企業のエンジニアになれてハッピー」と思うほど、少なくとも過去の私はエンジニアになりたくなかったのである。
今の研究室にいると、「俺たちはとても優秀だし、とても努力する働き者だ、だから良い企業に行けて当たり前」という雰囲気は、
随分伝わってくるわけで、私のように成り行きでこの研究室に来た人間というのは、それには乗れないし、
そもそもその選民意識が嫌いなのは、私がこれまでの人生で随分苦汁をなめてきたからかもしれない。


彼らより人一倍勉強して、彼らよりも知識を身に着けて、それをむざむざと目の前で捨ててやりたい、などと
夢想してしまうのは、私がひねくれているからだろう。
なんなんだろ、この破滅願望は。昔から結構これがあって、私はあまり幸せな人生を歩んでこなかったような気がする。
これは今に始まったことではなくて、昔からあった感情かもしれない。
あいつらと競争して、勝つっていうのがそもそもできないだろうから、夢想ではあるのだけど。


研究は、前回上手くいった部分の次の段階に入り、制/御/工/学の知識を純粋に問われる課題が課されて、
不勉強な私はそれに対応できないで困っている。
周りとの折衝は一見上手くいっているようではあるが、仕事を進める折衝としては課題が残っていて、
もっと方針を示してもらったり、助言をもらいに行ったりするということが必要であるのだが、それができていない。
問題はこの「行動力」の部分にあるわけだけど、ひと山越えた後の倦怠感も相まってか動けていない。


一週間前くらいは、「院生より先に開発してやったぜ、へへへ」ととても調子がよく、躁状態にあったけど、
今はそれさえもくだらないことで、もっと言えばほかの大学がやった論文の焼き直しでしかないわけで、
さらにきちっとした工学の知識を聞かれると全然対応できない自分を見るにつけ、「こいつはどうしようもない頭の悪さ」と
必死に隠してきたことを誤魔化せない今日この頃である。
「頑張ろう」といって先週くらいまでは頑張ってきたけど、そろそろ頑張ろうではなくて、地に足付けて、
腰をじっくり据えて、気持ちを落ち着かせて、ちょっと暗めな気分で冷静に、という方向に行ったほうが良いように思う。
自分がとても駄目な人間に見せてくれるこの研究は、しかしながら産業分野では随分と役に立つけど、難解な回/路なのである。
前の会社説明会では、今やっている研究のそれも私が取り組んでいる研究テーマがとてつもなく入っていて、
その部分だけは救いだった。


(追記)
最近、また上手くいかなくなってきているのは、また心がふさがってきているからだと思う。
多くの研究というのは、現代では一人の天才によるものではなくて、チームプレーで進められる。
もちろん天才には天才の研究があって、彼らにしかできないことはあるのは確実なのだけど、
私がやっていることはそういうことではない。