穴熊

穴熊を試してみた。
なかなかの防御力。
将棋24の有段者は穴熊などの囲いを使う人間が多い。
「ツノ銀」を一日試していたのだが、これでは限界があることを悟ったというか。
勝てるは勝てるけど、勝つときは条件がそろっていないといけない。


「ツノ銀」では王様が右サイドにいる。
最初から右サイドを狙ってくる石田流などは案外捌ける。
しかし、相手が「居飛車穴熊」のときに、相手は当然私の左サイド突破を狙ってくる。
そうした時、私の左サイドを突破されないように攻撃を序盤で殲滅すれば
私の勝ちである。
しかし、それが出来ない理由が「穴熊」にはある。
なぜなら相手は大駒(飛車、角)を切ってくるからである。


なぜ「穴熊」使いがそれほどまでに、大駒を切れるかといえばそれはひとえに「穴熊」だからである。
飛車の一枚で「穴熊」囲いを破ることは不可能である。
最低2枚必要である。だからこそ、どんどん大駒を切ったり、交換したりする。
大体、穴熊にかこったら、なるべく大駒を交換して
相手の陣内で裏返るという作戦にであるのである。


たとえば「ツノ銀」vs「振り飛車穴熊」の場合を考えよう。
ツノ銀は何も考えずに、まずツノ銀を構える。
そこから穴熊の攻撃を完璧に遮断しようとする。
しかし、穴熊相手にそれは難しい。
なぜなら穴熊は大駒を切ろうとする。
相手が弱い囲いをしているのならなおさらである。
飛車と角のどちらかで罪まで持っていけるかこいなら、間違いなく大駒を切って、
相手陣地に攻め入ろうという大局的な戦略がすでに成り立っている。
一方で、それができない「穴熊」使いはひどく弱い。
穴熊で大駒を守る人間は、穴熊それ自体が理解できていないのである。


穴熊」を勉強してみると、随分将棋観が変わる。
というのは大駒を勝利のために躊躇なく切るという戦略だからである。
大駒の価値というものを絶対値として考えている将棋よりも、
大駒の価値はかなり流動的なのが穴熊の特徴である。
しかし、将棋というのは価値変動させて考えた方が、はるかに攻撃の幅が大きくなるわけで、
価値変動そのものを担保するような陣形が「穴熊」というわけである。


ということで、しばらくは有段者の穴熊を見つつ、実践である。
穴熊の囲いは誰でも作れる。
そこから作った後の攻撃である。
それが一番の問題。
今日見たのは、「相穴熊」同士で、角を二枚投じて穴熊を崩壊させた。
そしてあとは取った金とか銀とかで王様を追い詰める。


角を二枚切る方は、角の価値が相手の穴熊囲いの手前まできて、
相手の穴熊の構成要素の金二枚より低くなったとのである。
穴熊を構成する二つの金は、次の王様を詰めるという行程において
重要なものであったのである。だから角を放り出した。
それも二枚同時にである。