初ゼミ

今日は11時前から、学食で狸うどんとカレーライスを食べて(計500円)、11時に研究室へ。
金曜日は授業が一つもないので、研究室に遅めに顔を出してしまう。
大して何かしているわけでもないのであるけど、一週間研究室で過ごしていると疲れたりする。
別に周りとの関係も悪くないのだが、しかしながら四六時中隣に人がいる、というような環境に慣れていないらしい。
こんなに人と一緒に時間を過ごすのは・・・高校生以来である。


昼からゼミがあって、地元のドン企業の新入社員だかなんだかわからない若い社員さんと、
それから年をとったチームリーダーのようなエンジニアさんが5人程度聴講に来ていた。
準ボスは「ドン会社軍団」と呼んでいた。
こんなに来るとは予想外だったらしく、ゼミ一番バッターの大学院生は混乱していた。
毎年、研究室内の学生間で進めるゼミであるけど、なぜか今年は例外の年らしい。


さて、ゼミの内容であるけど、なかなか崩壊していた。
発表者は大学院の一年生であるし、卒論を書いた以外では私たち学部生とあまり変わらないのかもしれない。
いままでのやり方だと、学生間で不明な部分は気楽に議論しあう空気があったというような話を聞いたけど、
今年は初めから100%ネタが練りこまれている、ことを要求されるような空気を、
外から来られた社員さんたちが作ったのかもしれないけど、(そんな事情はお客さんは知らないし、そもそも私も知らない)
とにかく発表の内容水準と、なぜだか聴衆が集団的無意識で作り上げた要求水準が全く合致していなかった。
年配社員さんは、ごりごりと発表に突っ込みを入れていき、発表者さんはグロッキー状態であった。
「こうやって鍛えられるんだから」と年配社員さんは、連続突っ込みを入れていく。
毎年のゼミと様子が違うのか、勝手が違うのかわからないけど、大学院生は最後にはへにゃへにゃになっていた。
アーメン。


ゼミというのは、テーマを決めて、それぞれリサーチして授業をする。
だからうまくいけば、ふつう大学の授業でノートをとって新しい知識を入れ込んでいく、というような作業ができるわけであるが、
発表者の熟練度が悪ければそういう行為自体がそもそもできない。
そう思うと、上手に授業をして学生を啓発していく教官たちはすさまじい。
慣れというのもあるのだろうけど、「内容が入ってくる」という感覚を他人に与えるには相当の知識のバックボーンが存在しているか、
あるいは授業技術というのを身をもって塾講師などで体得した、ということが必要であり、
大学院生といえども学生がまともに、「授業」を作り上げる、というのは難しい。
私の隣に座っていた大学院生に、ちょくちょくわからない部分を質問していたのだが、
彼も「入ってこない」という言葉を連発していた。
・・・確かに入ってこない話であった。


かくして初ゼミは、なんだかわけのわからぬうちに終わってしまった。
盛大な花火が上がると思ったら、線香花火であった、というような落差である。
ゼミの案内メールには、研究室の主要研究テーマの大雑把な背景を、ゼミで効率的に身につけよう、という趣旨であったが、
私の隣の大学院生などは「無効成分が多すぎて、実効成分の少ない」というような辛辣な表現で今回のゼミを表現していた。
なんという毒舌・・・。
それでも、このゼミというのは院生の一年生と、学部4年生で回すというものであり、
しばらくすれば私にも発表の機会が回ってくると思うとぞっとする。
しかしながら、今日のゼミを聴講した年配技術者さんが、準ボスと話してゼミの在り方自体を変えるかも、
みたいなことをゼミ後にほのめかしたわけで、今後私のスケジュールはまた変更されるのではないかと思う。
確かに私が若手社員を連れてゼミに来ている年配社員であったら、次から来ないか、
あるいはゼミの質を変えるか、の二択から選ぶだろう。
横からちゃちゃを入れるこの年配技術者さんのほうが明らかに説明の要領を得ていたし、
あなたが講義して、学期末にでも若手社員と研究室の学生ともども試験でもしたら一番良いのではないかと思ったけど、
なぜだかキャラが強烈なくせに中途半端に遠慮するから、妙なことになる。


何にせよ、私の場合は「授業」などしたことがないのだから、内容だけはある程度練っていかないと大変なことになる。
質問は、「それが具体的に何に使われているか」だとか、そういうものが多かったし、
範囲を限定して、欲張らないでコンパクトにまとめていったら、とは思うのだけど、
あまりコンパクトにしすぎると、つまらないうえに議論の余地なし、というゼミの意味がなくなってしまうかもしれない。
あとは、壇上に立ってたくさん目ん玉があるなかで、いかに余裕着々にふるまえるか。


僭越ながらそもそもパワポでも理解に苦しむようなシートがあったし、ある程度まともにやればうまくいくんじゃないか、
と甘く考えている自分もいる。
それでも私の発表の前にはたくさんゼミを聞く機会があるので、それまでに傾向と雰囲気をつかんでおこう。
ゼミは学生の手作り感が出るものなのなぁ、はじめて知った。
自分の番が回ってくるのは確かに怖い、けれど自分がまとめたとしてどういう風に振る舞えるのかとやってみたくもある。
カラオケと同じで、頭の中ではずいぶんうまく歌えるイメージなのに、実際にやってみたら全然駄目というのはよくあることである。
私がやった議論なんて数年前の部活のOB会くらいしかない。
あの時は案外喋れたような気がするがどうだろう。


明日からゴールデンウィークだけど、予定は全くない。勉強したり本を読んだりして過ごそう。