昨日の説明会兼一次試験(造船)

昨日は朝5時ころ起きて、実家から電車に乗って造船会社の説明会へ。
電車の中では随分気持ちよく寝た。
自分が鼾をかいているのに気付いて、はっと起きたらすぐ目的の駅だった。
危うく乗り過ごすところであった。


電車から降りると、説明会開催の15分前。
さっさとタクシーを拾って駆けつけると、5分前。
ぎりぎりであった。
それから建物の中に案内され、私を含めて10人程度であった。
なぜか大学名と名前を書かれた札が置いてあって、それをつけなければならなかった。
ざーっと大学名なんか眺めてみたけど、●ナビに書いてあったような採用実績校と随分違う。
旧帝大の名前がどかーんと書いてあったけど、今日来ていた人々は、えらい違いますがな。
ああいう採用データに乗っている採用実績校だとか採用人数というのは、結構背伸びしてたりするのかしら。
文系採用となると必然的に高学歴になるのかしら、それとも。
今日は理系説明会であったので、違ったのかもしれない。


あとは説明を受けて工場見学。
説明で示された会社の年齢別人数は、どうやら世代交代が上手い具合に行っていないアンバランスな会社だと思った。
あと10年以内に、この会社を支えたであろう多くの人間が退職するようである。
人事さんも、見ているとなんだか危ういほど若い人であった。
会社の方針としては、これから人事にしても技術部にしても、それから文系畑のほうにしても、
若い人々中心に切り盛りしていかなければならないわけで、それで会社の命運である人事を若い人に任せているようであるが、
私と大して年齢も変わらない女の子たちでよいのだろうか。
私が心配することではないけどね。正直人事さんが若い女性だったために「イケメン」しかとらないのではないかと心配になる。
説明会でも「イケメン」社員を花々しく紹介していた。
採用活動において「女の勘」というのは当たるのかしら、しかし人事さんのボスは40歳くらいの男性であった。


その後、楽しみにしていた工場を見学する。想像以上であった。
この間行った、化学系企業のでかいところはたくさんのパイプが這っていたのは印象的だけど、
造船会社というのは、あの象徴的な大きなクレーンからわかるように、巨大な鉄の塊が頭上につりさげる作業がある。
この下敷きになれば、間違いなく即死。痛いなんて感じる暇もないかもしれない。
もし意識があったら不幸なことである。激痛どころの話ではない。
意識があったとしても数分とまたないで絶命することであろう。
見ていて、これは事故なんか結構起こるだろうなぁと、きちんと安全管理はしているのだろうけど、そもそもが危険な行為で、
原理的に完全にリスクを排除することはできない作業を見て思った。
造船会社の事故なんて結構ある、ということは以前から知っていたけど、この会社においては近年でも事故が一件あった。


説明会の後は、技術畑の若い社員が御二方きて、座談会のようなものが開催された。
学生が質問して、社員が答えるという形式のもので、こちらが質問をしなければそれほど多くを話してくれない。
私もいくつか適当に質問したけど、それで何が分かったということもなかった。
しかし、「大学で勉強したことは全く役に立たなかった」といっていたが、一体何学科の方なのだろう。
電気回路くらいなら役に立つというか、それ以外に考えようがないので、それって学科によるのではないかと多少思った。
前の合同説明会で別の造船会社の話を聞いたけど、あちらの方が規模がでかいし、クリーンなようであったのだが、
そこでは「電気系は何をするの?」と聞いたら、それなりの説明をしてくれて、「大学の勉強いみねーし」とは言わなかった。
もちろんかなり発展させないと使い物にならないとは言っていたけど。
あとは「アットホームな会社」というのをしきりに言っていた。先輩後輩の距離が近いと。
それは雰囲気から伝わってきたけど、多少引っかかるものはあった。


業種は、公務と設計に分かれていて、公務は現場の方々とのコミュニケーションは必須。
それから設計は、取引先(船主)の方々とのコミュニケーションが必須。
御二方の御顔を見ていて思ったのは、現場と作戦総本部で顔つきも違ってきますわなぁ、ということである。


昼食は会社からでるということで、中学校の頃食べた給食のような昼食がでた。
美食家の私をうならせるほどのものではなかったが、素朴でおいしかった。緊張もあってかお腹も減っていたから。
適当に、受験者の10人でしゃべったけど、一番最初に行った鉄鋼会社の説明会ほど民度が高くなかった。
とはいっても、私はこちらの雰囲気のほうが馴染みがあるようだ。
あそこは大学院生が多かった。今日は大学院生などいなかった。
この辺りは棲み分けなのだろうなぁと思った。


昼食後は、一般常識の試験と作文。
ジョブズだの新渡戸稲造だの文章を読んだ。英文なんて全く勉強していないし分からなかったので、
ネットで知っていたジョブズのスピーチの記憶から推測して答えておいた。
あとは算数があったけど、数問分からない。
最大公約数ってなんだったっけ。1リットルって何立方センチだっけ、という私の常識のない頭が炸裂した。
1リットル=(10cm)^3である。
とはいってもすべてに完答しようとしたのだが、のんびりやっていたので時間もなくなり、
このあたりが限界なんだろうなぁと思った。
大体、高校入試程度の問題だったけど、結構できないものもあるもんですね。
一応全力は尽くしたのだから、これで落ちたら仕方がない。
作文は、夢あります?と聞かれたので適当に書いておいた。
夢なんて正直ねーよ、この野郎と言いたくなるけど、そこはぶりぶりして書いたけど、
なんというか釈迦に説法のような豪そうな文章になってしまったので、落ちたかもしれない。
それでも今回の試験で感じたのは、無駄に本を読んだりしているのは、こういう試験にはいいように働く。
文章なんてしばらく読んでないと、現代国語も危うくなる。
現代国語はまあまあできたと思うけれど。
また、作文の内容はともかく、ブログで毎日駄文を書いているために、文章を書くということには慣れているので、
この辺りも全く不便は感じなかった。内容には多少不便を感じた。


座談会から、人事の人々は後ろの席に座って私たちの質問を「監視」していたのかもしれない。
それから試験もしたので、質問の内容とか試験の点数、作文の内容である程度頭の中になにが入っているのか分かったのだろう。
合格発表は意外と時間がかかり4月上旬。あと4回ほど試験をする予定のようで、今回のような人数であれば
40人で数人の採用枠を争うわけだけど、今回来たようなメンツであれば、私にもチャンスがないとは言い切れない。
これで一次試験落ちていたらお笑い草であるけど。


説明会、試験すべて終えて、午後4時ころであった。観光地でもあるので、風情ある商店街をふらふらして、
地酒を卒業コンパのために三本ほど買って5000円を出費。それからご当地ラーメンを食べて700円を出費。
入った店があまり良くなくて、ダブルで頼んだのに後から換え玉のようにいれられてしまった。
この自称ラーメン研究家の私の舌をうならせるほどの味でもなかった。おいしいところはもっとおいしいのだろう。
その後タクシーで最寄りの駅に向かい1500円。
危うく運転手さんに領収書を用意されそうになって拒否する。
どうやら私のスーツ姿が、新卒には見えなくて出張帰りのサラリーマンに見えたらしい。
老けているから仕方ない。
友人にこの話をすると、私のスーツ姿は中堅社員に見えるらしい。貫録があるということだと無理やり解釈した。


さっさと電車に乗って、大学のある地域に帰った。そのあとは、卒業コンパで可もなく不可もなく。
それほど雰囲気になじめないのは昔から変わらない。
なんというかノリがわざとらしいのである。それでも別れを告げるべき人には別れを告げた。


昨日行った造船会社の雰囲気を総論すれば、演歌が似合うような古き良き日本人的気質に支えられている所がある感じ。
例えば伊丹十三氏の映画のような人々はたくさん登場人物として出てくるであろうけど、
現代の軽いステップでとんとんとスーツを着こなし、スマートに仕事をするようなビジネスマン像とは無縁の世界。
私はどちらかというと、伊丹十三氏の映画の登場人物のほうだから、この点は別に良い。
一方で学問畑の人々とは相いれないのではないかというような雰囲気もあったりする。
実際に作っているものは、形而上的なものではなく、極めて物質的なものであり、今の時代の雰囲気と比較すると、
古臭いといえば古臭い業界だと思う。
でも、造船の町を歩いていたら、なんだか故郷のように思えたりもした。
少なくともこの造船所のある町は、私は好きであった。気候もよい。