実家に帰って説明会


三日間程度、うまい具合に実家ある都市で説明会が連チャンしているので、
いい機会かもしれないと、とりあえず出席して、社会勉強をしている。
一体、世間で言われる「就職活動」なるものがどういうものかということで、
私も「一応」とか「とりあえず」という調子でそのようなことをしているのである。


昨日は、化学系の会社の説明会に出席した。
説明会に割かれていた人員は3人。ある程度説明会に人員を割いている企業というのは、
これまでのわずかな経験上、よさそうな企業が多い。
この企業も、人事さんはいわゆる「人事さん」な感じではなくて、
とても柔らかな印象の人事さんであった。
この前行った、地元のドン企業の人事さんとはまったく別の人種である。


この間いった企業のように、日本有数の規模というわけではない会社でないし、
「大手」というよりも、人数からしたら「中堅」かそれ以下の規模ではあるが、
会社の雰囲気のよさはぷんぷん伝わってくるものである。


また、この企業は歴史も江戸時代からすでに原型となる組織があり、
塗料を製造していたのが最初である。
その塗料というのが、旧来の製造過程では公害が発生するのであるが、
1960年代にはその製造方法を見直し、無公害化に成功、その後、その塗料の製造を基盤として、
現代もメーカーとして「粉粒加工技術」という技術をベースにして、できる事業を拡大している。
この辺りは、この前説明会に行った鋼鉄の表面加工の会社ととても似ていて、
コアになる技術があり、その技術を軸にして、時代のニーズに応じた製品を市場に提供する、
という事業拡大の経営戦略である。
思うに「大手」というのは莫大な資金に裏打ちされているという感じであるが、
「中堅優良企業」というのは、コアになる技術が一つか二つあり、それを基礎にして手を広げていく、
という燻銀な企業が多く、会社を一人の人間の生き方としてみたら、
私は間違いなく後者のほうに好感をもつ。


他の化学系企業と同じように、「研究開発」「生産技術」「営業」という選択肢があり、
「研究開発」では、個人で進めるというよりもチームで進める、そのチームもさらにいくつかのグループに分かれている。
「チームワーク」だとか「協調性」「コミュニケーション能力」を重視しているようで、
説明会の感じからしてその匂いがぷんぷんした。
とはいっても、私もこの歳でかなり丸くなってきたので、別段そのあたりは苦にしない。
むしろ大人数で研究を進める、ということを一度やってみたい。
また中国進出は、仕方がない状況のようで、生産ラインを中国に立ちあげて、
現地のオペレータ(中国人)を育てた、というような話も聞いた。
一か月は中国に行き詰めらしく、大変なようではある。
少し前に合同説明会で話を聞いた別の企業で「積層セラミックコンデンサ」の話があったが、
その企業にも製品を提供しているBtoBの企業である。


説明会後、化学系企業で働く電気系というイメージをはっきりさせるために、
多少社員の方に話しかけてみた。
「やはり電気系であれば、研究開発でいえば磁性の分野、あるいは生産ラインを立ち上げる生産技術でしょうか」
と聞いてみたらば
「別に磁性の分野だけにとどまらないで、化学の分野にも挑戦してみればよい、
私も大学は情報系の学科です」
というような話した。
化学というと高校時代にすでに挫折したのであるが、量子力学を授業で多少かじった今、
もう少し勉強してみたいという気持ちも無きにしも非ず。
とはいっても私の学科の量子力学なんてひどいレベルであるが。
エントリーシートを説明会より二週間以内に送ってくださいまし、といっていたので、
これは何としても送りたいと思っていたりするのである。
社員の方にも好感が持てた。
尚、この間のドン企業とは違い、推薦はやっていない。自由応募のみであるらしい。


その後、勝手知ったる地元の街中ということで、ブックセンターなどをうろつき実家に帰る。
ブックセンターでは、就職活動系の本の棚が目に付いたので、一冊何か読んでみようか、
と思い適当に物色するが、「自己啓発臭」というのがぷんぷんして何か嫌だ。
宮台氏の本もあったけど、うーん、なんだか結構高い。
600円程度なら読みたいのだが、1000円を超えていた。
仕方がなく、新書コーナーに行き、二冊買った。
前に就職活動の動画でみた石●氏という眉唾な著者が出していた本がいくつかあったけど、
この人は全く信用していないので、他の本にした。


就職迷子の若者たち (集英社新書)

就職迷子の若者たち (集英社新書)


ぼちぼち昨日から全部読んでみたけど、内容はあまり印象に残る部分がなかった。
「仕事から企業を探せ」というメッセージがあったかなぁ。
私の場合、技術系の電気系という「縛り」のようなものがすでにあるのであるが、
これをさらに限定するというのは「好み」の問題であるが、さほど思い入れというのが
電気系そのものにないためか、そのあたりがまだまだ絞れていない。
著者がいうには、「会社を選ぶな、仕事を選んでから会社を選べ」という一理あることを言っていたが、
これは確かに地に足のついたまっとうな意見である。
私といえば●ナビから送られてくる情報を、養豚場のブタのように食らっているだけである。
それでも会社説明会に実際に参加して、「好み」のようなものを見つけるというのは、
今私がしていることであり、間違ってはいないのだろうねぇ。
この間行った、ドン企業の尊大人事の「推薦至上主義」よりもはるかに好きである。


あとは、日常における自分の性格を分析して、その企業とのマッチングする部分を、
探していきましょうぜ、というもしかしたら温いかもしれないやり方であるけど、
私も取り立てて取り柄というものがないために、それをやろうかと思っている。


それで、今日はゼネコンの説明会に出席。
内装を基軸事業とした会社であり、大手との棲み分けということでそうなったのだろう。
尚、ゼネコンは現場で働くことになるので、土木、建築の場合は、一級建築士や施工管理士という資格が必須。
電気の場合は、電気施工管理士というような資格が必要で、入社後にとらせるという。
ゼネコン業界時代は、業界のパイ自体が年々減少しているので、将来性というのは
保証できないということを人事さん自らがカミングアウト。
つぶれても「他の企業から引っ張られるような技術者」になってくれということらしい。
ゼネコンって本当に景気が悪いらしく、公官庁からの仕事もコネの影響かあまりもらえず、
この度の震災復興事業にも参入できていない様子であった。
世知辛い世の中ですなぁ。
僭越ながら人事さんの説明の要領があまり良くなかった。


この企業の説明会では、一次の試験と集団面接があって、あまり行きたいとは思わない企業であるが、
とりえあず就職試験というものを体験するために受験。
一般教養は漢字を書かせる問題であった、
漢字の読み書きテスト。恥ずかしながら読みで一問間違ったと思う。
さらに書きでも間違った。
「成就」は「じょうじゅ」と読みましょう。
「遂行」くらい書けるようにしましょう。
おみくじなんか引いたら、この漢字に出会うはずだけど、単体で出会うと疎い私は読めない。
英語などもあったけど、これは推測できる範囲。


数学や算数も出たけど、これはさすがにできた。一応理系なので。
あとは歴史建築の問題があって、まったく歯が立たなかった。全部わからん。
それから時事問題。
半島系の企業が筆頭株主というのが原因なのか、某国の主席が誰かと聞かれる。
別にあんなインモラルな国の主席の問題をわざわざ出す必要ないと思うけど。
時事問題も、わからないのは結構あって、疎いんだなーと思った。


面接では、「なぜ今の大学に入ったのか」ということを聞かれ、適当に答えた。
この一問だけで、説明会には4人来ていたのだが、それ以上のことは聞かれず、
一問しか聞かれないということは、全員ずぼらだから落としたのかもしれない。
合否は来週の末にわかるらしい。合格者には連絡するが、非合格者にはしないという。
とりあえず初めての就職試験は、こうして終わった。なんともあっけのないものである。
漢字の読み書きも危ういし、時事問題にも疎い。
試験時間は20分程度であった。


そうやって説明を聞いたり試験を受けていたりしたら、すでに昼を過ぎていたので、
街を「ラジオ版学問のススメ」を聴きながらのんびり歩いた。
福岡氏が話していたが、17世紀の科学者や画家というのは、
科学者と今でこそ言われているけど、アマチュアサイエンティストだったし、
マチュア絵画師であって、別に「他称」というわけではなかった。
本人たちは好きでそれをやっていただけで、それが後世になって評価されただけである。
うーん、確かにねぇ、私の就職活動はそれとは全く相いれない変なこと。
もう少し地に足をつけて考えたほうがいいかもしれない。
頭を冷やせと言えども、わけのわからない連続性の中に私は投げ込まれている。