相穴熊190手

今日は同じような10級のレートの人間と相穴熊になった。
攻防が何度か入れ替わり190手に及ぶ長丁場の相穴熊の一局になった。
穴熊が不得意だったために、穴熊は使っていなかったのだが、
最近になってその堅牢さに惚れて穴熊を指し始めて、初めてこのような長丁場の相穴熊を指した。


有段者の将棋を観戦していて、よく相穴熊になっているので、見学はしていたのだが、
自分自身が相穴熊を指すことは全くなかった。
なぜなら端玉銀冠を使っていたからである。
穴熊にはならない。


穴熊になったことはあるといえばあるのだが、お互いとんでもない指し手で
穴熊の将棋とはいえないほどの将棋であったが、今日のはある程度きちんとした相穴熊であった。
少なくとも私の中では相穴熊を指したという生涯初めての感覚である。
結果的に私が勝ったのだが、おそらく勝っても負けても私はその指した直後の感覚を忘れないであろう。
ぼちぼちの相穴熊を指すと、それはそれは興奮するのである。
穴熊を修復すれば、何度も何度も攻防が入れ替わるのである。
実力が同じくらいであると、攻防のバランスがとれているから長い将棋になる。
しかし、次第にどちらかの駒損が顕著になっていく。
上手く指せば相手の金駒が最後にはなくなり、防御のできない駒(角とか桂馬とか)だけになったところを
攻め落とすことができる。


指しているときはドキドキした。
お互い大駒をガンガン切り合い、お互いの穴熊を揺るがしていく。
でも上手い具合に攻めつつ、攻めて手に入る駒を計算しつつ、
良いタイミングで攻防を行う。
その過程で凄く興奮するのである。どちらに転ぶかわからない。
下手を打てば簡単にやられてしまう。
自分の思惑があって、相手もこう動くだろうと予測しながら、
相手の駒と自分の駒を入れ替え入れ替えする。
最後に勝てそうな時は、なるべく相手に防御しづらい駒を渡しながら崩していく。


190手という長い将棋で、おそらく30分以上はかかっていても、終わってみたら勝敗がついて、
負ければレートが減る。
穴熊で負けた時に悔しさというのはないだろう。
何せ時間がかかる上に、負ければレートが減るのだから。
穴熊の怖さと、それから興奮を初めて知った日であった。
面白いけど、レートのことを考えると、随分な将棋である。


今日は、相手はノーマルな穴熊で組んできたから、私は歩を一つ上に出して、
銀を頂点にして、金が二段目に二つ並ぶという位を取った穴熊にした。
こうしていると相手が香車や桂馬で攻めにくくなると思ったからである。
案の定相手は上からの攻めでなく、横からの攻めを選択するしかなかった。
一方で私は持ち駒の香車と桂馬で相手を攻めつつ、そこで拾った金駒を防御に回して
さらに横からの攻めに対しても強い穴熊にする。
一時はかなり堅牢な穴熊が完成して、その堅牢さをニタニタしてみていたのだが、
そんなことをしている間にも将棋は進んでいく。
また、こちらはと金を作ることができる状態になったが、
相手は自軍に歩があったのでと金が作れない。
その利点を利用しつつ、相穴熊を勝利で終えた。
こんな感じで少しずつポイントをとって勝った感じ。