手筋と駒の方向性、戦術と戦略

「矢倉をマスター」を読んでいる。


基本から教えてくれるので非常に助かる。
羽生先生がテレビで「手筋ですねー」といっていたのだが、
「手筋って何?」と疑問に思っていたのだが、「手筋」についてもこの本が教えてくれた。


「手筋」というのは「戦術」のことらしい。
「駒の方向性」は「戦略」のことのようである。
「戦術」と「戦略」の言葉は、日常ではごちゃごちゃに私は使っているが、
(どちらも同義として)どうやら違う意味のようです。


まず「戦略」というのは、「大局観」や「駒の方向性」といわれるもので、
盤上の駒を「守り駒」と「攻め駒」に大別したり、戦術よりは大きな作戦のことなのだろう。
例えばかつて大日本帝国が大東亜極東作戦ということで、
東南アジアに侵略しようとしたのは、「戦略」である。


一方で、その「戦略」を実際に機動する軍隊がいる。
その中には戦闘機乗りもいたことだろう。彼らが行う細かい作戦を「戦術」という。
相手戦闘機の背後をとったりする技術というのは、「戦略」というよりも「戦術」である。


勉強でもそうである。試験までの勉強日程を考えるのは「戦略」である。
実際にその計画を駆動するそれぞれの勉強テクニックは「戦術」である。
企業で社長というのは「戦略」を考え、組織図を作る。
それから組織を構成する社員に「戦術」を与える。
もしかしたら「戦略」だけ構築する社長もいるかもしれない。
個々に「戦術」まで擦り込める社長というのは、きっと優秀な人だろう。


羽生さんが言う「手筋ですねー」というのは、この本によれば「戦術ですねー」と
翻訳できる。手筋というのは、大局ではないが、個々の細かい技術、好手にたいして使われる言葉である。
将棋24ではどうだろうか。今は13級でくすぶっているが、少し前は10級にいた。
10級になると棋書を読んで、「駒の方向性」「戦略」を学んでいる人は多くなる。
「手筋」の部分では、お互いに鈍いから頑張って考えると、勝ったりする。
もしかしたら「手筋」を教える本もあるのかもしれない。
つまり「戦術」を与えてくれる棋書である。


穴熊の本を読んだが、穴熊は戦略がはっきりしている。
穴熊を組み、それらで守りつつ、相手を侵略しなさい。
相手を侵略するには、「手筋」が必要である。
しかし、私はあまり機転がきくタイプの頭ではないので、「手筋」が見つからない。
例えば、大学受験の数学などはどうだろうか。
細かく器用に解いていく人は、数学の「手筋」が分かっている。
大きな戦略を考えて、それを実行する「数学的テクニック」(つまり手筋)が分かっている人間は
数学が得意であろう。しかし、戦略か戦術のどちらかが欠けている人間は、数学が得意でなくなる。
なぜかといえば、「戦略なき戦術は存在しない」し、また「戦術なき戦略は存在しない」のである。
戦術と戦略はそれぞれがお互いに存在してこそ成り立つ、相補的なものである。
つまり「仲の良い兄弟」なのである。


基本的な将棋の「戦略」としては、相手の「守り駒」と自分の「攻め駒」を交換することにより、
原則「守り駒は動いても動かされてもいけない」に相手が反するように持っていく。
それを実現するために「戦術」「手筋」が必要になる。
「手筋」を学ぶにはどうするか。実践を見る。
あるいは「手筋」について語っている棋書を買う。