母親との対話

三度めの留年を報告すると、母親は烈火のごとく怒り始めた。
予想はしていたが、毎年この母親の狂った状態を相手にするのはつらい。
昔からそうであった。
小学生のころから怒り出すと手がつけられない。
子供だったころは、正直本当に怖かった。
今でもその頃の記憶があるので、電話越しにヒステリックされる気分はいいものではない。
心の中が不安にさいなまれるようにザワザワし始める。


昔は本当に母親が怖く、仕方がなかった。
小学生の頃や中学生のころはそれが顕著だったと思う。
そして今確信した。
「俺はこいつが嫌いだ」
全く考え方もなにも合わない。
ただひたすら禁欲的にやってれば人生は良いものだと考えているような人間とは合わない。
そもそも実家がおかしいではないか。
本棚もろくにない。教養というものがない。
学問に対して異常なまでの崇拝、というのは距離の取り方が分からない成り上がりものである。
話題もテレビくらいしかない癖に、一体自分がどれだけ偉いと思っているのか。
どれだけ偉大な人生を送ってきたというのか。


社会人になって独立したとしても私は実家に帰ろうとは思わないだろう。
独立したら二度と実家には帰るまい。