久しぶりに本読んだ

生き延びるためのラカン (ちくま文庫)

生き延びるためのラカン (ちくま文庫)


ここ数年,本を読むということを全然しなかったんだけど,久しぶりに読めた本.
文体も平易だから,読みやすい.
でも,肝心の内容は瞬間的にはへぇっとくるんだけど,大して覚えていない.
象徴界」「想像界」「現実界」ってのがどうやら人間の認識の肝らしいのだけど.話がこちゃごちゃしてまったく覚えられない.
読み返すつもりはあるんだけど,分かりにくい.
で,なんだっけ,人間が世界を認識するときに,「現実界」ってのがあって,そこから「象徴界」ってのを経由して,「想像界」に至る.
それでも,「現実界」ってのが一番基底にあって,あとの二つがそれに乗っかってるという三層構造ではなくて,それらは互いの関係性によって成立している,のだったっけ?
あまり覚えていない.


で,「対象a」とかいうのがあって,欲望のイデアみたいなのがある.
いろんな欲望を一般化したようなもののようである.
こいつが確か,先ほど紹介した三界の中心に据えられていて,どこにも属さないけど,三界の特徴をちょっとずつ持っている.
ちなみにすべての欲望の源泉みたいなのが,こいつ.


この対象aってのは,実際には何もないわけだけど,ある.
ここに自分の願望みたいなのが映る・・・.
あーわけわからんくなってきた,気が狂いそう.
私たちが赤ん坊の時に,父親にはあって母親にはないペニスを認め,男の子なら自分のその未発達のペニスはペニスとして母親に見てもらえなくて,母親が本当にほしいのは父親のペニスだと悟るときに,男の子は「ペニスになりたくなる」らしい.
そんで,ペニスらしいペニスはなくて,手元には未発達のペニスしかない.
となると,ここでちょっと男の子はコペルニクス的転回みたいなのが起こって,「ペニスに相当する何か」になりたいと思うわけ.
そうなると,これっていうのは一種の記号,象徴であって,このときはじめて人は「象徴」というのを手に入れるらしい.
象徴界」の中に参入するということは,言葉を操ることの源泉でもあって,人が人となることらしい.
たとえば,小さい子が「ウルトラマンになりたい」っていのも,これは「ペニスになりたい」っていってるのと同義みたい.
確かに,ウルトラマンはペニスみたいにぬらっとしてるからなぁ.もっと毛むくじゃらのような恰好であったら,ウルトラマンは幼児のアイドルではありえないのかもしれないねぇ.


で,本物のペニスはないけど,ペニスの象徴を代わりに欲するってのは,一種のあきらめというのを含んでいて,その意味で「去勢」という.
この「去勢」する代わりに,「ペニスの象徴」に代表される「シンボル,つまり象徴」を操る力を得る.
これ,言葉と記号を操る人間になるための儀式らしい.
この同時期に,おそらく上で紹介した三界がぼちぼちでき始める.なお中には,対象aがあるようでない.


実際に,得たものは「ペニス」それ自体ではなくて,「ペニスの象徴」である.そうすると,実際にはまぁ中身がない.
中身がないとなると,その中身としてなんか入れとかないといけない,「対象a」.
こいつはやっかいで,「対象a」は中身がない,虚しい,もっとほしい,この欠落を埋める何かがほしい,でも一生埋まらないだろうけど,欲しい,欲しい,欲しい.
それが「欲望」であって,しかも「ペニスの象徴」つまり「ファルス」で埋めたように見えた部分には,少なくともファイル拡張子「.象徴」でよいものが欲しい.
でもこの象徴,ってのが厄介で,言葉という他者性をもっているというのが悲劇で,正確にいえばそこには「他者の欲望」が入ってしかるべきだし,入らなければならない.
「他者の欲望」としてはいろいろなものがあるけど,その中でも絶対に手の届かないイデア的な欲望のようなものがあって,そいつを「対象a」という.


この「対象a」をなんとか得ようとするたびに人間は悲劇に見舞われたり,時には万能感を得たりもできる.
この悲劇はもとはといえば,シンボルを受け入れたり,それに伴い三界というの構築されたりするところから始まっているが,何のためにこれらがあるのよ.
人間の知性にタガをはめるためらしい.
よーわからんけど.この三界のせいで,人はお互いに誤解を生み争う.
もっと光ファイバを使って,お互いの考えをなんの雑音もなしに通信できれば,このようなことは起こらない.
つまりは象徴や想像を会することなく,そのままに.実際の光ファイバは雑音があるけど,ここでの光ファイバは暗喩である.
一人の脳味噌は,人類全体の脳味噌の一部となって,この地球を冷徹な叡智で満たすだろう.
でもそれをしないために,人の心の構造はこのような複雑で,不便な形をとっている,らしいんだ.


実際,こんなことは実証のしようもないので,ただの仮設にすぎないけど,ラカン理論で説明できることが多いから,残ってるんだって.
次は斎藤環氏の「文脈病」でも読もうか.
ペイドソンは前に挫折したっけか.


文脈病―ラカン・ベイトソン・マトゥラーナ

文脈病―ラカン・ベイトソン・マトゥラーナ