映画みたり

'the great gatsby'を見た.
作品名は前々から知っていたし,文庫本も確か持っている気がする.
ただ,読んでいない.


アメリカの好景気1920年くらいの話だから,とても景気のよい話なのかと思ったら,
終盤に近づくにつれての鬱展開には参った.
ベールに包まれていたギャツビーが,どんどん丸裸にされてしまう.


あの人妻デイジィが一番恐ろしい.
可愛い顔して,いろんな男を巧みに虜にし,最後には最適解を探り当てるのである.
彼女を中心として,なにやらよくわからない台風が起こってる.
あのデイジィは,歳を取って死ぬ前に何を思うだろう.
彼女の足元にはきっとギャツビーだけではなく,いろんな骸が転がってる.
なのにもかかわらず,彼女はそんなグロテスクな何かとは全く無縁な可憐を醸し出す.


あとはなんだっけ,都市部の好景気を支えていた,あの石炭の町.
ギャツビー達のような紳士は,まったくもって汗水たらさないけど,その分割を食っている人々は,
砂埃にまみれて働いている.
あそこに住んでいる,労働者を夫に持つ人妻が,これまたなぜか上流階級の奴らと不倫しているのだけど,
この人妻も最後には死んでしまう.
んで,家柄のよいデイジーに轢かれるのである.
階級が違うだけで,やっていることは同じであるデイジィに彼女を殺させるのは,一体フィッツジェラルドは何を思って
そうしたのだろう.


映画としては,前半にどんちゃん騒ぎで,
後半はそのどんちゃん騒ぎで見ないようにしていた部分がずいぶんわかりやすく提示するような造りになっているため,
わかりやすいし,見やすい.
でも見た後はやりきれない気持ちになる.