老獪

そろそろ前期もテストが終わった。
大学院になると研究がメインなのか、結構テストも軽いものが多い。
んで、昔、大学で知り合いろくにいなかった頃は、試験日の朝に勉強していたっけ。
前日からするような甲斐性のある人間ではない。
突貫工事でやっつけていた。


今回のテストは突貫は突貫であるが、研究室の情報網を駆使して、過去問を手に入れ、
そこだけピンポイントで覚えるという、ずいぶん効率重視な感じで乗り切った。
一つだけ出席日数が足りなくて試験を受けることができなかったが、あとはすべて単位取得の予定。
後期も同じような日々になるだろうねぇ。
だいたい、こんなもんか、というのはつかめたかなぁ。
学部の時と同じで、要領よくというやつで、昔はこれが火が出るほど嫌いであった。
「はいはい、要領要領、過去問共有、それやったやつがかつ勝負だろ」と若き日の私は思っていた。
しかしながら、いまは若き日の私が嫌悪していた、要領のよいくそ人間になってしまった。
こういう生き方を早く身につけておけば、4回も留年しなかったし、そもそもこの程度の大学には来なかったであろう。
あのころの純粋だった私のほうが、人間としてははるかに見どころがあると思うが、
最近は狸のような狡猾さでいろいろ乗り切ってるねぇ。
歳を取ると狸になるらしい、人は。


大学で学ぶ科目などは飯の種、として非常にドライに、それからこれからの働く先を得るために毎日やっている。
昔はどちらかというと、ドライというよりもかなりウェットで、大学で学ぶことは、
食べていくだけでなく、私の人生の根本を揺るがすようなものである、みたいなイメージでいたけど、
多分、そういう人間って少なくとも、この効率重視の学問のなかではあまりうまくいく姿勢ではない。
周りを見回せば、どいつもこいつも要領よく、詩などは解すはずもなく、
徹底的に野暮なロジックで武装したようなやつばかりになってしまった。
まぁどうでもいいけどね。


一つだけ言えるのは、これだけの要領乗り切りは昔の自分でもこだわらなかったらできていた。
だからこそ、口惜しいけど、世の中こうなのだねぇ、もうしらん。